Maersk Offshore Windは、シンガポールのSeatriumで建造中の風力設置船(WIV)に、専用輸送船をドッキングする革新的なロックシステムを導入したと発表しました。この風力設置船は、アメリカのジョーンズ法に対応した特異なSEP起重機船で、船尾にコの字型の切り欠きを設け、専用輸送船を係留して部材を輸送します。部材はトレイごとリフトアップして荷受けされ、最大5,000トンの重量に対応する昇降設備が備わっています。安定性は波高2.5mの状況でも確保できるとされていますが、施工の難易度が高く、実際の運用状況を見ない限り安心できないとの懸念もあります。風力設置船は2025年に、アメリカのボリンジャー造船所で建造中の専用輸送船は2026年に引き渡される予定です。
ジョーンズ法は、アメリカ国内の輸送に関する制限を設けており、米国船籍、米国人の乗組み、米国人の所有に加え、米国建造が求められます。この法律により、他国建造の設置船からの部材輸送が制約されます。風力設置船はシンガポールで建造されるため「米国建造」の要件を満たしていませんが、専用輸送船はアメリカ国内で建造され、ジョーンズ法に準拠しています。また、風力設置船の寸法は長さ143m、幅83.2m、深さ11mで、メインクレーンは最大1,900トンの吊り上げ能力を持っています。