デンマークの風力発電開発会社Orstedは、米国プロジェクトの資金調達のために株主に94億ドルの資金を求めた結果、株価が記録的な低水準に急落しました。この資金調達は、同社の市場価値の約半分に相当します。近年、インフレや物流問題に悩まされていたOrstedは、トランプ大統領の風力発電に対する敵対的な姿勢により、さらなる逆風に直面しています。トランプ氏は、風力発電が高コストであり、クジラや鳥に悪影響を与えると主張し、オフショア風力産業を終わらせることを公約しています。
OrstedのCEOラースムス・エルボーは、米国市場の逆風や過去のマクロ経済的・サプライチェーンの課題により、業界が厳しい状況にあると述べています。現在、Orstedは、米国東海岸沖のサンライズ・ウィンドというプロジェクトのために資金を調達しており、資金調達の2/3はこのプロジェクトに充てられる予定です。
トランプ政権がEquinorに隣接する風力発電所の開発を停止させたことで、投資家のリスク認識は大幅に高まり、Orstedは新たなプロジェクトの資金調達に困難をきたしています。デンマーク政府も株式発行に参加し、50.1%の持ち株を維持する意向を示していますが、野党からは税金で米国プロジェクトを支援することへの批判も上がっています。
この状況に対し、アナリストはOrstedの資本増強が必要な手段であるとしつつも、株主にとっては短期的な希薄化が大きいと指摘しています。Orstedは、欧州の陸上風力事業の売却や台湾・英国の風力発電所の権益売却からも資金を調達する計画です。