Aker Arcticは、約5年前に開発した新しい設計手法を用いて、フィンランド・スウェーデンのアイスクラスルールへの適合を完了しました。この手法は、LR、ABS、DNVなどの複数のクラス機関のポーラークラスルールにも採用されています。研究はバルト海を航行する船舶を中心に行われましたが、カナダの新しい氷砕船など、最近の新造船設計にも活用されています。
新手法は、鋼材の弾性特性を超えた塑性のモデリングを含み、変形後に破損しないように設計されています。従来の有限要素法(FEM)では弾性挙動のみが考慮され、塑性の挙動は線形関係として扱われていましたが、新しい手法では非線形分析により、構造の弱い部分を特定し、最適化することが可能です。
これにより、船体構造が簡素化され、鋼材の重量が100から300トン削減できることが確認されました。この技術は、船舶の燃料や貨物の積載量を増やすことができ、環境にも配慮されています。Aker Arcticの構造設計チームリーダー、Juuso Lindroosは、非線形分析が構造の挙動をより正確に予測できることを強調しています。
この新しい手法の開発は、2006年に制定されたポーラークラスルールに基づく氷砕船の建造経験から生まれました。研究チームは2020年にMarine Structuresに新しい評価手法を発表し、非線形分析が構造の強化に貢献することを示しました。Aker Arcticは、非線形計算の結果が実際の氷損傷と非常に一致することを確認しており、信頼性の高い手法であると自信を持っています。