国際海事機関（IMO）が2020年に海洋燃料の硫黄含有量に対する義務的な上限を設定した結果、船会社は主に3つの選択肢を持つことになりました。低硫黄の化石燃料（マリンガスオイルなど）を燃焼させる、または重油を燃焼させる際に排出ガスから硫黄を除去する洗浄システム（スクラバー）を設置すること、あるいは低硫黄バイオ燃料を使用することです。しかし、バイオ燃料は利用可能性が限られているため、実行可能性が低いです。MITやジョージア工科大学の研究者たちは、スクラバーを使用して重油を燃焼させることが、低硫黄燃料を使用することと同等かそれ以上の環境性能を持つことを発見しました。この研究では、スクラバーと燃料の生産・運用データと、洋上貨物船での排出測定データを組み合わせて分析しました。その結果、全供給チェーンを考慮すると、スクラバー付きの重油燃焼がほとんどの環境影響要因（温室効果ガスの排出、陸上酸性化、オゾン生成など）において最も害が少ない選択肢であることが示されました。
この研究の主著者であるPatricia Stathatou（ジョージア工科大学助教授）は、「環境への影響を減少させるための主張や政策は科学に裏付けられるべきであり、データを確認し、客観的に全体像を考慮した研究を設計する必要がある」と述べています。また、研究にはギリシャのアテネ国立工科大学のMichael Triantafyllou教授やOldendorff Carriersのメンバーも参加しています。この研究は『Environmental Science and Technology』に掲載されました。
