国際海事機関（IMO）は、2050年頃までに船舶からの温室効果ガス（GHG）排出を削減するための法的拘束力のある枠組みを確立する重要なステップを踏み出しました。IMOのネットゼロ枠組みは、業界全体における義務的な排出限度とGHG価格付けを組み合わせた世界初のもので、2025年4月に開催された海洋環境保護委員会（MEPC 83）で承認されました。この枠組みには、新しい燃料基準とグローバルな排出価格メカニズムが含まれ、2025年10月に正式に採択され、2027年に施行される予定です。義務は、国際海運からのCO2排出の85%を占める、5,000総トンを超える大型の海洋船舶に適用されます。枠組みは、国際海洋汚染防止条約（MARPOL）の附属書VIの新しい第5章に組み込まれ、108の締約国が参加しています。
この枠組みの目標は、2023年のIMOのGHG排出削減戦略で設定された気候目標を達成し、ゼロまたはほぼゼロのGHG燃料や技術、エネルギー源の導入を加速し、公平な移行を支援することです。新たな規制案では、GHG燃料強度目標に対して基準目標と直接遵守目標の2つの遵守レベルが設けられ、基準を超える排出を行う船舶は、排出の不足をバランスさせる手段を講じることが求められます。また、IMOネットゼロ基金が設立され、排出に対する価格貢献を集め、その収益が特定の用途に分配される予定です。
