中国は、世界最大の原子力貨物船になる可能性のある詳細な計画を発表しました。この船は14,000標準コンテナを運ぶ設計で、200メガワットの熱出力を持つトリウムベースの溶融塩炉（TMSR）で動力を得ます。このコンセプトは2023年に初めて紹介されましたが、技術的な詳細は最近公表されました。情報は、江南造船グループの上級エンジニアであるHu Keyiによって、貿易誌『Ship & Boat』に掲載されました。
Huによれば、トリウム炉からの200MWの熱は直接船を動かすのではなく、ブレイトンサイクルを利用した超臨界二酸化炭素（sCO₂）発電機を駆動し、効率的に熱を電気に変換します。このシステムは約50MWの電力を生成し、数年間燃料補給なしで航行可能です。また、新しい設計は熱から電気への変換効率が45〜50％に達し、従来の蒸気ベースの原子炉の約33％と比較して高い効率を持っています。船は緊急時のために10MWのディーゼル発電機も搭載します。
この設計の最大の利点の一つは安全性です。トリウム溶融塩炉は通常の大気圧で動作し、冷却に水を必要としないため、従来の炉よりも小型で静か、安全です。温度が上昇しすぎると反応が自動的に遅くなる強力な安全機能も備えています。重大な故障が発生した場合、溶融塩燃料は特別なチャンバーに流れ込み、冷却・固化され、放射性物質を封じ込めて汚染を防ぎます。全体の炉は10年間の寿命を持つ密閉型モジュールユニットとして構築され、燃料補給の代わりに10年後に全ユニットが交換されるため、漏れやメンテナンス時の人的エラーのリスクが減少します。
この貨物船は、中国の高度な原子力技術開発の一環です。2025年には、中国のゴビ砂漠にある実験的トリウム溶融塩炉が世界で初めて長期的に安定した運転を達成しました。アメリカは1960年代にオークリッジ国立研究所でトリウム炉を建設しましたが、腐食問題のためにそのプロジェクトは中止されました。一方、中国はその作業を継続し、特に内モンゴルにおける豊富なトリウム埋蔵量から恩恵を受けています。
